みなさんこんにちは。
シリーズで、佐々木正美先生の著書『子どもへのまなざし 完』を読みながら、発達障害についての理解を深めようと思っています。
前回までで、障害とはその人自身のことを言うのではなく、その人が障害を被っている状態のことを言うのだということ。それは障害あるなしよりも、「生きづらさ」に着目すべきことということ。
そして、発達障害は、
「脳の多様な機能を同時総合的に働かせることがうまくいかない」状態ではあるが、
「発達が優れている部分もあり、一概に遅れているとは言えない」
ということをおっしゃっています。
また、発達障害には色々な診断名が付きますが、どれも連続した一連の症状であり、どの症状が強いかどうかを多様な角度から見ているだけのこと、と述べられています。
つまり、ASDもADHDもLDも、どの症状が強いかで診断がつけられているけれども、同じ「発達障害群」である、ということです。
そして、ASD(自閉症スペクトラム)の特性はどの子でも共通することが多いのだそうです。
前回は、
①目で見て理解する力が強い
②話し言葉が苦手
③一つに一つの理解
④時間と空間の意味が理解できない
⑤見る範囲が狭い
⑥感覚機能の違い
⑦一度に一つの理解
⑧同時総合機能が働きにくい
⑨想像する力が弱い
⑩ものごとを忘れることができない
⑪素直で正直で一直
(『子どもへのまなざし完』より)
の中から、
①〜③について、私の個人的な感想を書きました。
今日は、④を紐解いてみたいと思います。
④時間と空間の意味が理解できない
についてです。
自閉症の子どもは、これをするときはここで、あれをするときはあそこで、ということを具体的に、習慣的に見える形にして教えられませんと、空間の意味を理解することが非常に困難なのです。(p206)
現在の私の職場(児童発達支援センターですが、また変更の予定があります)でも、子どもたちの活動の場が部屋によって変わります。
この部屋ではお勉強、この部屋ではご飯、この部屋では体を動かす、ということが分けられており、その部屋を象徴するイラストカードとともにその日のスケジュールを確認します。
これが、慣れていないと、あちこちの移動になり、「どの子が今どの部屋にいるのだろう??」と、私なんかは頭がこんがらかったのですが、当の子どもたちは絵カードを渡されると頭が切り替わるようです(その活動の部屋に行くことを嫌がることもありますが、その部屋で何をするかきちんとわかっているということです)。
「おしまい」と言われても理解が難しいような子でも、「次はこの部屋に行くよ」と絵カードを見せると、大抵は切り替えができます。
「切り替えができない子」と思われている子でも、本当は多目的にその場所を利用することによる混乱が起きているだけかもしれません。
いままでやっていたことから、つぎの行動に移るためには、場所を変えて、つぎにこれこれをしますと教える必要があるのです。
ただ「もうおしまい」といわれるだけだと、この子たちは禁止されたような気になり、混乱してしまいます。
ただ、家庭や学校で、細かく部屋を仕切ってあげられればいいのですが、難しいこともありますね。
そういう場合でも、場所に線を引いてあげたり、カーペットを敷いたり、仕切りを作ってあげることも有効だそうです。
この概念は、なんとなくですがわかる気もしますね。
私は、この記事を仕事部屋で書いているのですが、やはりリビングで書くより集中力が増します。
「ここはこれをする部屋」というのは、体全体で理解しやすいのかもしれません。
そして、時間の概念ですが、時間は確かに目に見えません。
便利なグッズで、視覚的にわかりやすいタイマーなども売っていますが、長時間のこととなると難しいと思います。
そういう時、パターンが決まっていてわかりやすいNHKの教育テレビなどをチェックして、「今は一日のどのあたりの時間なのか」理解しようとしている人もいたと佐々木先生は言っておられます。
また、一日の行動パターンを、変えずにその通りに行うことがとても安心できることなのだそうです。
思った状況でない場合は、とても心が痛むのだそうです。
目に見えるもの、手順を頼りにしている彼らにとって、パターンのこだわりを無意味なこととして片付けるのは無理解による思いやりのない行為だと佐々木先生は指摘しています。
その子にとっては意味のある行動なのですから、できるだけその行為を受容するようにしながら、私たちの要望もむりなく伝える努力や協力が必要なのです。(p215)
あくまで基本は習慣や日課を大切にするべきです。
それをくずしたやり方は、よほどやむを得ない時以外は、可能な限り避けて、習慣や日課の内容や種類を徐々にふやしていくほうがいいです。(p213)
今日も読んでいただいてありがとうございました。
次回は、
⑤見る範囲が狭い
について書いていきたいと思います。
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