前回からの続きです。
さて、第6巻からは社会人編です。
スミレも24歳になり、生来の優しさや真面目さはそのままに、映画会社に勤めるキャリアウーマンに成長しています。
そして6年ぶりに中学校教諭になった真白君と再会します。
真白君は実はスミレのことをまだ想っていて、それでもスミレが黎を探す手伝いを買って出ます。
真白君の教え子の女の子が泣きながら海に入っていくところをスミレが止めるシーンがあるのですが、
そこでまたスミレが名言を吐きます。
「私が充実してるって
なんでも持ってるって言ったでしょ?
そんなことないんだよ?
なくしたものもあるんだよ
でも
だからこそ頑張れるの
若いって
何もあきらめなくていいってことなんだよ
何でもできるよ
だから自分のこと
大事にしてあげて」
スミレは、黎が命がけで若返らせてくれた命を無駄にしないように、懸命に頑張っていたのです。
しかし、
仕事関係のパーティーで黎と再会出来たものの、黎は人間に対する愛情を無くしてしまっていたのです。
一時はショックを受けるも、
「だったら私が黎の記憶を思い出させます」
と決意するスミレ。
黎のために、好物を作ったり、怪我しているところを助けてやったりします。
物語のクライマックスに差し掛かる直前まで、スミレの奮闘、それを支える真白君の男ぶりが際立つ展開になっています。
結局、黎は人間への愛情とスミレとの日々を思い出し、スミレのことを慕っていることも自覚します。
そしてスミレも、真白君からの告白を受けて黎が自分にとってどんな存在なのかを見つめ直します。
随分とはしょってしまって申し訳ないのですが、二人が無事結ばれるのです。
そして、その後に来るクライマックスに、この作品の最後のメッセージが込められているような気がします。
スミレと黎は互いに想いを伝え合って結ばれ、スミレは黎からもらった命を無駄にしないためにも、ある映画に出演してみないかという誘いを受けることにします。
その映画監督が、実は黎が記憶を無くしたいた時に一緒に悪さをしていた紅林という人間だったのです。
色々あって、黎は紅林の脅迫からスミレを守るためにもう一度自分の身を投げ出すことを決めます。
この物語には、大切な人のために自分の身を投げ出すシーンが何回か出てきます。
真白君が病に倒れた時、スミレを二度若返らせる時、そして、スミレを若林から守るために。
ただ、今回は、これまでとは違います。
「もう黎に 絶対に 自分の身を 投げださせるようなことさせない」
そう強く思い、紅林とともに消えた黎を必死に探すスミレ。
これまでは、愛する人のために身を投げ出していたのですが、今度は、「愛する人とともに生きるために」という展開になります。
このあたりの詳細は実際に本を読むときのためのお楽しみにしましょう。
何にしろ、読後感はとてもいいです。
出来たらスピンオフ作品をもっと読みたい作品です。
冒頭に最終巻の表紙の絵を載せましたが、表情がめっちゃ優しくないですか??こんな表情を描ける作者さんはすごいなと思います。しばらくの間この絵を待ち受けにしていました私…笑。
高梨先生の絵は、とても見やすく、主人公がきちんと魅力的に描かれていて気持ちが入ります。
個人的には、若い頃の黎の方がカッコよかったので前半の方が好きですが、これはもう好みの問題です笑。
さてさて、ざっくりとストーリーを追ってきましたがいかがでしたでしょうか。
単なる恋愛ものかと思いきや、人生そのものを考えさせられる深い作品でした。
私、本当に転職しましたから笑。
愛する人と、自分の人生を輝かせるために、どう決断するのか。
人生の岐路に立った時に背中を押してくれる作品だと思います。
是非是非お手に取ってお読みください。
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