『特攻の島』 オススメ度 ★★★★★

「海猿」「ブラックジャックによろしく」など、丹念な取材と細やかな人物描写に定評のある佐藤秀峰の作品。
佐藤秀峰 – Wikipedia

こんにちは。
私が大好きな漫画について(時々書籍や映画について)、その面白さを紹介できたらと思いブログを始めました。

初回は、『特攻の島』という作品です。

特別攻撃隊といえば航空機による神風特攻隊は耳にした方が多いと思いますが、こちらは艦艇による特攻、人間魚雷回天にまつわる話です。

重いテーマ、難しいテーマではありますが、オススメ度は文句なしの星5つです。

この方の漫画の説得力はどこからくるのでしょうね。

画力、ストーリーの組み立てはもちろんですが、やはり膨大な取材の積み重ねが背景にあるのではないでしょうか。
戦争というものの哀しさだけではなく、そこに飲み込まれていく人間というものを深く考えさせられます。

その世界観を紙とペンだけで生み出す漫画はすごい…この作品には漫画の醍醐味が詰まってると言ってもいい。凄いです。

 

主人公渡辺は貧しい家庭に生まれ、身体を壊して炭鉱で働けない父と兄を非国民と蔑まれ、母が営む養豚業のために残飯を集める生活をしていました。
唯一の楽しみが絵を眺めることで、戦争さえなければ画家になりたかったのかもしれません。
母は渡辺に好きなことをして生きて欲しいと望んでいました。
しかし時代の波はそれを許しませんでした。

渡辺は家族を守るために予科練に志願します。
訓練の合間に母からもらった画帳に自画像を描いてみたり、回天の発案者・仁科や親友関口を描いてみたりするのですが、それが物語の重要な伏線になっています。

仁科との対話の中で、渡辺は回天に搭乗することの意味を掴もうとします。
その仁科は、渡辺に「生きろ」言い残し戦死。
再び自問自答を繰り返す中で、渡辺の出撃が決まります。
しかし、この時渡辺の回天は故障してしまい突撃は叶わず、浸水とガスの発生により瀕死の状態になりながら助け出され帰還します。
基地に戻った渡辺は卑怯者呼ばわりされ、廃人のように過ごします。

このあたりの渡辺の心情が、現代人の私には想像が難しいところがあり、何度か読み返しました。
自分が帰還した作戦で、友が戦死している。
死を覚悟した自分はおめおめと帰ってきてしまった。
生きているのに死んだように過ごす渡辺の一番辛い時期だったのかもしれません。
本当の心の内はわかりませんが、ラストまで読むと理解ができる気がします。

一度特攻に参加した者は二度と特攻に参加できない軍則も、悪化した戦局を前に打ち消され、渡辺は念願の二度目の突撃に参加します。

ここからが物語のクライマックスです。
息つく間もない展開に、ページをめくる手を止めることはできません。
艦長の豊増、副艦長、潜水艦隊員、回天隊員それぞれにドラマがあり、確かにそこに血の通った人間がおり、胸が苦しくなります。
人間は極限状態になった時に何を残すのでしょうか。

その答えのひとつが、回天隊員の最期の言葉たちにあるような気がしますが、それは本編を読んだ時のお楽しみに…。

ひとつだけ、渡辺の言葉で書き記すとすれば、

「真に生きることができた時…生と死は同義だ」

ということですね。

言うことは簡単です。

しかし実践することは難しい…それだけに心に残るし、忘れてはいけないと思います。

 

それにしても、歴史は勝者が書くのですね。
話し手の立場によって、ストーリーが全く変わってきます。

今回は特別攻撃隊の側からのストーリーでしたが、米国側の書くストーリーだったらまた違った印象になるでしょう。

どちらの立場からも知ろうとする大切さを考えるとともに、改めて漫画の持つ吸引力というか、人を啓蒙する力みたいなものを感じた作品でした。

ebookjapan.yahoo.co.jp




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ペルー人夫と息子の3人暮らし。英語&スペイン語のトリリンガル!約1000人以上の外国人とオンラインで交流したり観光ガイドをしている経験から外国人が日本人に抱くイメージを知り尽くしています。外国人女性の友人も多いです。外国人パートナーに関する内容をブログとツイッターで発信中♪ツイートDMで無料お悩み相談も受付中!